歯を失ってしまった方の中には、お口まわりの見た目が悪くなってしまうことを懸念して、入れ歯の装着をためらう方もいます。保険適用の入れ歯はクラスプと呼ばれる金属のバネで固定するので、外から見るとどうしてもお口まわりの印象は悪くなりがちです。
当院では部分入れ歯の場合、クラスプを使用しない入れ歯「ノンクラスプデンチャー」を取り扱っており、見た目を損なうことなく入れ歯を装着することも可能です。
また、入れ歯を装着すると違和感があり、すぐに外してしまうという方には「金属床入れ歯」がおすすめです。金属床入れ歯はその名の通り床部分が金属でできた入れ歯で、本体を薄く仕上げられるので装着時の違和感を少なくできます。熱伝導にも優れており温度感覚が自然に近くなるので、食事を美味しく味わうことができるようになります。
歯が抜けた方や失ってしまった方、入れ歯やブリッジをお考えの方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
入れ歯とは?
入れ歯はなんらかの理由により歯が欠損してしまったところに装着する、取り外し可能な歯のことです。もとの歯が1本もない場合は総入れ歯を、一部残っている場合は部分入れ歯を装着します。
- 総入れ歯:吸盤のような働きでくっつけて使用
- 部分入れ歯:残っているもとの歯に金具を引っ掛けて使用
また、インプラントを支えに使った入れ歯であるインプラントオーバーデンチャーや、マグネットを使用するマグネットデンチャーもあります。お口の状態やご自身のお悩みに合わせ、最適なものを選んでいきましょう。
入れ歯の種類
保険の入れ歯
費用目安 | 3,000~5,000円 |
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耐久性(5段階) | 3 |
見た目の美しさ(5段階) | 3 |
保険治療が適用される入れ歯です。
メリット
- 費用を安く抑えられる
- ほとんどの症例に適応できる
デメリット
- 噛む力が弱い
- 装着時に違和感が生じる場合がある
金属床
費用目安 | 400,000円〜 |
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耐久性(5段階) | 5 |
見た目の美しさ(5段階) | 4 |
金属を使った入れ歯です。金具は歯に負担をかけにくい形態になっています。
金属にはチタン、コバルトクロムなどの種類があります。
メリット
- 耐久性が優れている
- 入れ歯本体を薄く仕上げることができるので装着時の違和感が少ない
- 熱伝導に優れており食事を美味しく味わえる
- 他の歯が抜けてしまった場合も追加修理が可能
- ほとんどの症例に適応する
- 汚れが付着しにくい
デメリット
- 金具が見えて気になる場合がある(見えにくい位置に金具を設定することが可能)
- 修理が難しい場合がある
- 噛む力が弱い
ノンクラスプデンチャー
費用目安 | 1歯 150,000円〜 |
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耐久性(5段階) | 3 |
見た目の美しさ(5段階) | 5 |
クラスプ(金具)を使用しない入れ歯です。
メリット
- 金属のバネがないので目立ちにくく見た目が良い
- 軽いので装着時の違和感が少ない
- 金属アレルギーの方でも安心して使用できる
デメリット
- 金属床などと比べると耐久性に劣る
- クラスプの調整がしにくく修理などの対応ができない場合がある
マグネットデンチャー
費用目安 | マグネット代(1本:60,000円)+入れ歯代 |
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耐久性(5段階) | 3 |
見た目の美しさ(5段階) | 5 |
クラスプの代わりに超小型磁石を使って固定する入れ歯です。
メリット
- クラスプを使用しないので審美性が高い
- 入れ歯が安定しやすい
- 違和感が少ない
デメリット
- 磁気アレルギーの方は使用できない
- 磁石を組み込むのに削った入れ歯部分が破損しやすい
- 定期的にMRI撮影をされる方には使用できない
インプラントオーバーデンチャー
費用目安 | 500,000万円〜 |
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耐久性(5段階) | 5 |
見た目の美しさ(5段階) | 5 |
インプラントとくっ付けるタイプの入れ歯です。インプラントを顎に埋め込み、それを土台として入れ歯を被せます。
主に歯がほとんどない方、入れ歯が合わずに困っている方が用いるケースが多いです。
メリット
- 入れ歯が外れにくく食事がしやすい
- 噛む力が強い
- クラスプを使用しないので審美性が損なわれにくい
- 入れ歯が安定しやすい
- 修理がしやすい
- 取り外し可能なので清掃性が高い
デメリット
- インプラントを埋め込むため外科処置が必要になる(糖尿病や骨粗鬆症のお薬を服用されている場合は適応できないことがあります)
コンフォート
費用目安 | 400,000円〜 |
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耐久性(5段階) | 4 |
見た目の美しさ(5段階) | 4 |
「入れ歯が硬いのが嫌」という方向けに、入れ歯の内面の歯茎と接触する部分に柔らかいシリコーンを貼り付けた入れ歯です。入れ歯と歯茎の間に座布団を敷くイメージになります。
メリット
- 内面が柔らかい素材で歯茎を傷つけにくい
- 噛んだときの痛みが軽減される
- 入れ歯のぐらつきや外れなどが少なくなる
- ほとんどの症例に適応する
- 使用中の入れ歯をコンフォートに改修することができる(入れ歯の種類によっては改修できない場合もあります)
デメリット
- 修理が難しい
- 汚れが付着しやすい
- 内面の柔らかいシリコーン部分が白っぽくなることがある(専用の洗浄剤の使用をおすすめしています)
コンフォートの保証について
5年保証
通常の方法で使用していたにもかかわらず、コンフォートが剥がれたり変質したりした場合には無償で張り替えを行います。張り替えにともなう治療費・診察費は含まれません。
生産物責任保証
コンフォートにより患者さまがお怪我をされるなど、万が一の事故による損害が発生した場合に備え同製品は生産物責任保険に加入しています。お怪我の治療費や入院・通院費などの損害が補償されます。事故が発生した場合には、すぐに当院までご連絡ください。
入れ歯製作の流れ
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- 1型取り
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お口の中の型取りを行います。欠損している部分が片側にしかない場合でも、型取りは上下とも行います。 そのあと模型を作り、入れ歯の原型を製作します。
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- 2咬合採得(噛み合わせの決定)
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噛み合わせを決めます。 欠損部分だけでなく、お口全体の状態を調べながら噛む位置を調整していきます。
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- 3入れ歯の設計・製作
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噛み合わせを再現する機器により、入れ歯を設計します。その後、歯並びや色合いを見ながら入れ歯を製作していきます。
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- 4試適
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必要に応じて、完成前段階のものを試しに合わせて適合を確認します。
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- 5完成
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出来上がった義歯を装着します。違和感のある部分は再度調整したり、入れ歯の使用方法についてもご説明します。 使用開始後も痛みや違和感のある場合は再度調整を行いますので、遠慮なくお申し付けください。
ブリッジ
ブリッジとは歯を失った箇所の両隣の歯を削り、それらを支えとして入れ歯を装着する方法です。歯を削らなければいけなくなりますが、入れ歯がしっかりと固定されるため、ぐらついたり外れたりすることが少なくなります。
当院では患者さまのお口の状態に合わせ、最適な治療方法をご提案しています。生活習慣や解消したいお悩みなどさまざまな部分を考慮し、入れ歯だけでなくさまざまな選択肢をご提示することもできます。
ぜひ一度お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 入れ歯はどれぐらい持ちますか?
A. 入れ歯の種類によります。
金属床義歯は作りがしっかりしているので、長期間使用していただいている患者さまが多いです。当院でも20〜30年前の入れ歯を修理しながら、自分の体の一部として使っていただいている方がたくさんいらっしゃいます。
Q. 入れ歯を装着したら喋りにくくなったのですが、慣れますか?
A. 慣れていただけることが多いですが、やはり慣れない方が一定数いらっしゃるのも事実です。
極力薄くて違和感の少ないものですと金属床義歯がおすすめです。
Q. 入れ歯を作るのにどれぐらい期間と回数がかかりますか?
A. 残っている歯の数と入れ歯の範囲によって変わります。
範囲が小さいものであれば1回、約1週間です。
範囲が大きな場合は4〜5回、1ヶ月〜2ヶ月かかります。
Q. 入れ歯の金具が緩んできて外れやすくなったのですが、自分で調整してもよいですか?
A. 調整は歯科医院にお越しください。
金具は折れてしまったり、曲がりすぎると戻せなくなる場合があります。不具合のあった場合は歯科医院で調整していただくようにお願いいたします。
Q. 入れ歯は寝るときに外しますか?外しませんか?
A. ケースバイケースです。
入れ歯の範囲が小さく、残っている歯がしっかりしている場合は外してください。
入れ歯の範囲が大きい場合は、残っている歯の保護のために、就寝時も入れ歯を付けておくことをおすすめします。
就寝時については担当の歯科医師、または歯科衛生士に相談していただけると確実です。